死にたい私と楽器
音楽や楽器は、世界を広げるためのツールだ。
楽器を始めて(正確には今続けている楽器を始めて)はや10年経とうとしている。無駄に経歴だけを重ねて、技術的には殆ど進歩していないように感じる今日この頃。
元々音楽が好きで始めた楽器だった。憧れもあったかもしれない。ただ私は練習に対して真面目ではなかった。楽しみながら努力を重ねる、ということに不向きだった。
音楽に真摯に向き合っている人には到底言えないが、楽器を続けているのは、職場ではないコミュニティが得られるという側面が大きい。そこは酷く居心地が良い。出来ない私を許容してくれる器の広さがある。そこへ行くと、自然と笑顔になれる。
…明日は久しぶりに奏者としての本番を迎える。この演奏会を機に、辞めるか続けるかをずっと悩んでいる。音楽に対する熱量は、学生時代よりだいぶ下がってしまった。仕事とは関係のない居場所は欲しい。だが音楽はどうしても仕事の一部を思い起こさせる。社会的な私を忘れ、ただの一個人として明日の演奏会を終えたら、何か心持ちが変わるのだろうか。